電子部品会社 人事・総務部 法務担当 勤務
平成27年度合格
<司法書士を目指した理由(経緯)>
私が司法書士を目指したきっかけは、新卒で入社した会社でメーカーの営業職として働きながらも法務案件に携わったことが影響しています。
当時勤めていた会社は、法務部がある様な大規模な会社ではなく、営業職であっても基本的には“なんでもやる”職場でした。ただ商品を販売するだけでなく、契約書を自分で確認したり、弁護士と直接相談したりすることもありました。勿論、一般的な企業法務と比べるとたいしたことをしていたわけではありませんが、学生時代に司法試験を目指していたこともあり、法務的な業務に対して非常にやりがいを感じていました。このような業務に取り組んでいくうちに、より専門的に法務業務を行いたい、企業法務ができる会社へ転職したいと次第に法務職への思いが強くなり、転職を決意するようになりました。
しかし、その思いと裏腹に、なかなか法務部への転職ができずにいました。というのも、当時の法務部への求人には、ほとんどの会社で法務実務経験3年以上なおかつ法学部(ロースクール)出身者という条件が定められていたのですが、私はその条件に該当していなかったからです。純粋な法務実務経験がなく、大学時代は経営学を専攻していたこともあって、条件に全く当てはまっていませんでした。それでも、熱い思いをエントリーシートに載せて応募してはみたものの、当然不採用ばかりでした。
どうにか法務業務に携われないかと考えていたとき、たまたま司法書士でも企業法務を扱っている方がいることを知りました。私は、法務職への転職の思いが益々強くなっていて藁にも縋る思いでいたこともあり、司法書士を取得して実務経験を積めば法務への転職の道が開かれるのではないかと考え、司法書士試験の受験を決意しました。
司法書士試験は、私にとって簡単な試験ではなく、最初は働きながら勉強していたものの、最後の半年間は仕事を辞めて排水の陣で臨み、何とか合格することができました。合格直後は、司法書士の実務経験をせずにいきなり企業法務への転職も考えましたが、司法書士の実務経験を積むことで将来的には企業法務の幅が広がるだろうと思い、まずは司法書士事務所に就職しました。司法書士時代は、登記業務(不動産と商業)中心でしたが、そこで士業としての責任感や未知の問題への解決方法、行政機関との交渉等、単純に法律を深く学ぶ以上の経験をさせていただきました。
その後の企業法務の転職活動では、司法書士で身に着けた経験を活かして、登記業務や株主総会実務を行える会社を中心に幅広く法務業務を行える会社への転職活動を行いました。
転職活動中は、司法書士であることに決して鬼に金棒といえるほどの強力な武器とは感じませんでしたが、それでも企業内での司法書士の有益性をアピールし、現在の会社に就職することができました。
<現在の仕事内容・所属組織はどのような職種・業種ですか?>
私は、電子部品メーカー(上場企業)の人事・総務部において、法務担当として仕事をしています。
仕事内容は、コーポレート・ガバナンス対応、株主総会実務や適時開示対応等の株式実務、登記実務(不動産、商業)、契約書作成・確認、法令調査、法務相談等です。基本的には法律(知的財産法は除く)が絡むことであれば何でもやりますし、所属部署が人事・総務部でありますので法令に関係ない総務業務(行事対応等)も行うことがあります。
<仕事の面白さ>
当社は、法務担当が私のみという、所謂一人法務です。そのため、私の判断が企業に影響を与えることも少なくなく、責任重大です。しかし、その反面、自分で必死に調べたり、考えたりすることも多く、試行錯誤を繰り返しながら課題を解決することにやりがいを感じています。また、当社に入社したばかりの時は、一人法務で業務を取り組む中で社内の法務体制を整えることに不安を感じておりましたが、当協会を通じて、会員の皆さまより様々なアドバイスをいただくことができました。
また、企業法務と司法書士業務を比べると、企業内で法務業務を行うことは、その企業活動に伴う法務業務に関して自分自身の問題としてかかわれることに面白さを感じております。例えば、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行業務に携わったのですが、司法書士ならば登記業務のみ依頼を受けることが多いと思います。しかし、企業法務として対応するならばコーポレート・ガバナンスコードにどのように対応させていくのか、社内組織・規程をどのように変えていくのか、株主総会でどのように説明するのかということ等も自社の問題として考えていくことになります。企業内での法務業務は、ある一つの企業活動について深く携われることに面白さを感じられるのではないかと思います。
勿論、私自身、司法書士業務には組織内でなくともやりがいや面白さを感じられる仕事であると思っています。
<当協会の面白さ>
当協会では、司法書士または有資格者という共通点はありつつも、様々な企業で様々な業務を行っている会員の皆さまと交流することができます。互いに共感することもありながら、様々な経験をしている会員の皆さまの活躍に刺激を受けつつ、励みになっております。