小林製薬株式会社 広報・IR部勤務
平成14年合格 未登録
<司法書士を目指した理由>
社会人としては証券会社の営業マンとしてスタートしました。新横浜支店に配属され、主に横浜市の鶴見区や関内周辺の担当となり、朝と晩は電話外交、昼間は飛び込み営業という生活を続けていました。ある飛び込み先に司法書士事務所があったのですが、それまで司法書士の存在すら知りませんでした。そこの先生は正に1国1城の主として活躍されており、その姿に憧れのようなものを覚え、思い切って証券会社を1年で退職して司法書士試験を目指しました。
2年で合格を目指していたものの、何と7年もかかってしまい、その間、LEC東京リーガルマインドでのチューターや法律事務所での事務員として働きました(その時は苦しかったのですが振り返ると結果的に7年の受験勉強は大正解でした。法律知識が骨の髄まで染み込み、その後の会社生活の大きな自信となっています)。
2002年の合格後、法律事務所内で司法書士として開業。1年半後、法律事務所内のヒエラルキーに限界を感じ、2004年に小林製薬株式会社の法務部門に採用されることになりました。
<現在の仕事内容・所属組織はどのような職種・業種ですか>
現在の会社に入社してから、法務→総務→経営企画→IR→広報とコーポレート部門を渡り歩き、2018年1月から広報・IR部となっています。当社の企業広報、製品広報、IR、CSR活動、社内報等を主管しています。
具体的な業務の内容については、企業広報、製品広報はメディアの方からの取材対応、IRでは決算説明会の開催や投資家訪問、CSRは統合報告書の作成や社会貢献活動の企画・立案があります。
<社内で司法書士のスキルが生かされる場面>
法務部門に所属していた時は、契約書関連業務で民法、訴訟対応では民訴法、M&Aでは会社法等、かなりの場面で司法書士のスキルが活かされました。
その後に配属された総務でも株主総会対応や取締役会事務局対応等を担当し、経営企画でもコーポレートガバナンス全般を見る必要性から会社法の知識が活きました。現在、IRも担当しておりますが、ESGが重要視される中、IRでもG(ガバナンス)に関する知識が必須となり、ここでも会社法の知識が活かされています。
また、個人的に会社法やコーポレートガバナンスに非常に関心があり、企業の法務担当者が集まる「経営法友会」が主催する「会社法実務研究会」に参画し、会社法改正時における法務省の立法担当者や大学教授等との意見交換を行っています。司法書士試験で会社法を勉強しなければ、このような活動もできなかったと思います。
<司法書士という資格が今の仕事・組織においてどのような影響があるか>
正直、司法書士の資格を持っているだけで目に見えるようなメリットは少ないと思います。司法書士としての知識やスキルひいてはリーガルマインドをベースに、それにプラスαとして何らか別の強みを持つことが大事です。それはコミュニケーション能力でも税務や会計の知識でも何でも良いと思います。
<組織内司法書士協会について>
本協会は司法書士の有資格者の集まりで、正に司法書士の知識・スキルにプラスαの強みを持っている人たちの集団です。
定期的に例会を開き、旬なテーマについて議論しています。時にはゲストスピーカーに弁護士に来ていただいたりして研鑽に努めています。その後の懇親会も本音で語ることのできる数少ない機会であり、大きな楽しみの一つです。
<著書(全て共著)>
■「内部統制システム構築・運用ガイドブック」(2007年)
■「取締役ガイドブック(全訂版)」(2006年)
「 〃 (第3版)」(2015年)編集委員として参画
■「監査役ガイドブック(全訂版)」(2006年)
「 〃 (第3版)」(2015年)編集委員として参画
■「新・企業活動の法律知識」(2005年)
「 〃 (第3版)」(2010年)
「 〃 (第4版)」(2013年)
「 〃 (第5版)」(2016年)
■「改正商法と種類株式の実務」(2003年)
<論文・論稿>
■「役員研修の現状と実効性あるプログラム策定に向けた取組み」(商事法務 2015年)
■「企業法務の視点-2017年第2四半期の話題-」(全2回)(商事法務 2017年)
■「経営企画部門から見たあるべき法務担当者」(経営法友会レポート 2013)
■「企業不祥事の記者会見における法務部門・広報部門の対応」(経営法友会レポート 2018年)