会員紹介:濱野雄治会長

 京浜急行電鉄株式会社 総務部勤務

 平成21年合格、未登録


<司法書士を目指した理由>

 

 私は、小さいころからの憧れであった電車運転士を目指し、高校を卒業した平成4年に当社に入社しました。駅係員、電車車掌を経験し、入社5年目に晴れて電車運転士となり、平成21年の総務部への人事異動までの17年間、旅客運輸の最前線に身を置いておりました。

 

 入社時は、漠然と「将来は運転士となる」ことだけを考えて毎日を過ごしており、司法書士をはじめとする「国家資格」については存在すら知りませんでした(ちなみに電車の運転には「電気車動力車操縦者運転免許」という国家資格が必要ですが、これも社内で行われる運転士登用試験の際に初めて知りました。)。

 

 最初にその存在を知ったのが、社内で資格取得が奨励され、車掌時代に合格した国内旅行業務取扱主任者(現:国内旅行業務取扱管理者)でした。その後、運良く1回目の登用試験で運転士となり、2年位の間にポンポンと2つの国家資格を取れた私は、何を勘違いしたのか「司法書士試験が、高卒で受験できる最難関の国家資格」と司法書士を次のターゲットとしてしまいました。

 

 当初は資格ガイド本や資格指導校の「合格後即開業可、平均年商〇千万円」の謳い文句に踊らされ、「将来の選択肢を増やしておこう」程度の認識で試験勉強を始めましたが、当時は合格率が2%後半で、しかもライバルは法学部卒をはじめとした法律学既修者が中心でもあり、結果合格まで9回も受験することになります。試験に落ち続ける中で、自分の実力不足が原因にもかかわらず「この落ちグセをどうにかしよう」と挑戦した、宅建、行政書士試験に合格したあたりから「鉄道以外の部署で働いてみたい」と思うようになり、これが功を奏してかは分かりませんが、総務部移動となった平成21年にようやく合格することができました。

 

<現在の仕事内容・所属組織はどのような職種・業種ですか>

 

 当社グループは、交通事業をはじめ、不動産事業、レジャー・サービス事業および流通事業などを行う企業集団で、京浜急行電鉄(株)は今年で創立120周年を迎えました。

 

 私は現在、京浜急行電鉄(株)の総務部に属しており、法務・コンプライアンスを担当して8年目となります。

主な業務は、他の会社・組織の法務部同様、契約書の確認がメインで、知的財産管理や社内規程の確認からグループ企業内のコンプライアンス研修等も行っております。

 

 鉄道会社は、表向きはお客様を電車で目的地に運ぶ”運輸業”と認知されており、当社でも鉄道収入が売上の大半を占めますが、鉄道会社は沿線の街づくりも担っており、それを反映してか私の日々の業務は不動産取引や流通、業務委託など、非鉄道業務の契約確認がメインとなっております。

 

社内で司法書士のスキルが行かされる場面

 

 司法書士試験では、民法、会社法、登記法から訴訟、執行法まで幅広い知識が要求されます。私の担当業務でも、契約審査には司法書士試験関連法令のうち実体法の知識が、民事訴訟案件については手続法のほか、簡裁訴訟代理等能力認定考査の知識もとても役立っております。

 

 なお、不動産登記申請や、残念ながら訴訟化してしまった案件等の対応は、司法書士や弁護士等のプロフェッショナルに外注しますが、その手前の段階(相談・準備段階)や、社内意思決定プロセス等については、司法書士のスキルで十分に対応できますし、それ以上のスキルは必ずしも必須ではありません。

 

司法書士という資格が今の仕事にどのような影響を与えましたか

 

 私は、司法書士試験に合格をしてから今の部門に異動となりましたので、「どのような影響」どころの話ではなく、今の部署に配属されている理由のほぼすべてが「司法書士有資格者であること」と判断することに疑いはありません。

 

 また、司法書士試験で学んだ法律知識が土台としてあったため、その後の経験や新しい知識の定着が効率的にできたことが、今日でも法務業務を継続して担当できている理由であると考えております。

 

当協会について> 

 

 私は、平成25年の協会発足時から参加させていただいておりますが、多彩な職歴を有し、かつ組織内で重責を担っている多くの会員と情報交換ができ、非常に有意義な集まりであると思います。

 

 ここで得た知識と情報と、会員から教えていただいた今までの貴重な経験を自分の糧とし、今後の業務に活かしていきたいと思います。

以上