新日鉄住金化学株式会社 総務部法務グループ勤務
平成元年合格、平成17年登録(東京会)
<司法書士を目指した理由>
私が青春の頃、司法試験は合格することが非常に困難であり、人によっては人生をかけてチャレンジする試験でした。その司法試験を目指して法学部へ進んだのですが、法律の学習を真剣にせず、一度も司法試験を受験することなく大学を卒業してしまいました。
その後悔から、卒業後に入社した事業会社を退職して、司法書士試験を目指しました。なぜ司法書士試験かというと、直接司法試験を目指すことは無謀だと判断し、次善の策として、まずは司法書士試験を考えたわけです。とはいえ、初めての受験は昭和63年、その頃から司法書士試験は、司法試験択一合格者でもなかなか合格できない難関試験でした。
受験を始めたときから、合格後は企業法務に進み、働きながら司法試験を目指そうと考えており、試験合格の翌年平成2年3月に一部上場会社の法務部に入社しました。入社後は司法試験にチャレンジしましたが、勤務しながらの受験は思った以上に大変であり、途中で受験を断念しました。
<現在の仕事内容・所属組織はどのような職種・業種ですか。>
現在の会社では、総務部法務グループ(法務専門部門)に所属しています。仕事内容は、契約審査・作成業務が圧倒的に多く、次いで法律相談、事件・事故対応といったところです。
司法書士試験合格後、これまでに企業法務として5社5業種に在職しており、今春で法務歴29年目です。5社中3社は一部上場企業であり、上場会社特有の株式・株主総会業務や金融商品取引法業務等についても経験してきましたが、現在の会社は親会社の100%子会社ですので、会社法・金商法等の知識・能力はずいぶん落ちてしまいました。お恥ずかしい話、最近の○○コード等の上場会社特有の法務業務については、全くの理解不足です。
<社内で司法書士のスキルが生かされる場面>
司法書士試験は、ご存じのとおり、民法、商法・会社法、不動産登記法・商業登記法、民事訴訟法・保全法等が試験科目です。これらの法律は、契約業務を行うために必要な知識であるとともに、その他の企業法務にも直結しています。司法書士は、企業法務に必須である不動産登記業務・商業登記業務(場合により供託業務も)に通暁しており、そのスキルは、企業法務のあらゆる場面で生かすことができます。司法書士は、企業法務として適任であると考えます。
<司法書士資格と組織で働くこと>
組織人がその能力を高めるために司法書士資格を取得すること(たとえば、法務部門への異動をきっかけに資格を取得すること)は、試験の難易度を考えると、十分賞賛に値します。ただ、資格取得にとどまらず、司法書士として登録することを考えたことはないですか。司法書士試験合格後に組織人になった方は、より登録に関心が高いのではないでしょうか。司法書士登録に際しては、実際には超えなければならないバーもありますが、登録することで、司法書士会主催の様々な研修等を通じ専門性をより高めることができます。また司法書士会では、市民向けに無料法律相談等の社会貢献活動(プロボノ)を頻繁に行っていますが、これらの活動は司法書士として非常にやりがいがあります。
<当協会について>
私と早川将和氏の2人で当協会の設立を企画し、平成25年8月に当協会を発足することができました。おかげさまで多業種の組織内司法書士の方々に参加していただいていますが、まだまだ会員数は少ないと思います。
このところ、当協会会員以外の方で、組織内司法書士の方々のお名前を各種法律雑誌等で拝見することが増えてきました。そのような方々は当協会をご存じないのか、またはご関心がないのでしょうか。当協会のアピールが不足しているのであれば、さらなるPR活動の必要があると思います。
昨年8月に私は会長職から退きましたが、濱野新会長のもと、今後はさらに活発に協会活動が行われることと思います。HPリニューアルもその一環です。まだお会いしていない「組織内司法書士」の皆さん、日本組織内司法書士協会へ是非ご参加ください。
以 上
著書: